ブラザー イン アームズ ヘルズハイウェイ

-戦場で人は何を想うのか-

私はPS2からブラザーインアームズをやっているのですが、最近久しぶりにヘルズハイウェイを再プレイしました。
やはり良いゲーム。このようなゲームは作り続けてほしいと切に想いました。

昨今ではCoDやBF等、テンポ良く作戦をこなし敵を爽快に倒していくスポーティタイプのFPSが流行っています。
このゲームはそれとは逆の俗にリアル系と呼ばれるFPSです。
ゴーストリコン・レインボーシックス・オペレーションフラッシュポイントとはまた違うリアル系です。

戦闘は非常にテンポが悪く武器の照準性能も悪い。
ストーリーは一切格好良さや華やかさは無く、ただ暗く悲しい。
しかしそれがリアルに感じる部分なのです。

・戦闘に関して・
敵と遭遇→味方の制圧部隊に移動場所を指示→敵に制圧射撃→敵の動きを封じている間に自分や他の部隊の移動。
上記の行動を繰り返し徐々に敵に近づく→敵の側面や背後に回りこんでいく→攻撃!
大体この流れが敵との抗戦時の一連の行動です。

具体的にはカバーと制圧射撃が非常に重要な行動となります。
自分もしくは見方を移動させたい遮蔽物へのルートが敵の射線上にある場合、自分が移動する場合は味方に、味方に移動してもらいたい場合は自分が制圧射撃を行い、敵の動きを封じている間に目標の遮蔽物へと移動します。
これを繰り返しながら徐々に敵に近づき回り込んで行きます。
戦闘時の移動で制圧射撃を怠ればほぼ必ずやられてしまうでしょう。

また交戦中(撃ち合い)も基本は常に遮蔽物に身を隠さなければあっという間にやられていまいます。
武器の照準性能は悪く(弾が当たり難い)、エイム感度ももっさりしており、さらに敵も遮蔽物に身を隠しているので、撃ち合いで敵を撃破するには遮蔽物より覗く敵の体にちょこちょこと弾丸を撃ち込んでいくことが大前提となります。
基本はヘッドショットを狙う形となります。
まさに撃ち合いです。

部隊を指揮し敵の隙を突くのか、またはカバーをしながらちょこちょこ撃ち合いヘッドショットを狙うのか。
攻略方法はプレイヤーによりますが、やはりサクサク爽快に敵を薙ぎ倒しながら進むのは無理です。
どう敵を追い詰めるか、味方にどう行動してもらうか、これがこのゲームの戦闘の醍醐味です。

・ストーリーに関して・
これも最近のアメリカ万歳的な感じや、屈強な男たちの格好良いストーリーではありません。
華やかさなど一切ありません。
史実に沿った作戦、マーケット・ガーデン作戦を舞台に登場人物達の｢人間｣を描いています。
戦争の落とす影、戦争によって得た代償、戦争で失ったもの。
戦争に翻弄された人達の話です。

全然格好良い感じなどありません。
暗く、重くじめじめと湿った空気感しかありません。
しかしそこがリアルに感じさせるのです。

敵を倒しても、ステージをクリアしていっても、何処かもやもやとした悲しいような空しい気持ちになってしまいます。
戦争とは何だろう、人間とは何だろう、そんな事ばかりを考えさせられる悲しい重厚感のある内容です。

やはり最近のFPSをしていると戦争について想うことを忘れてしまっているように感じます。
これは良いことではありませんよね。
このゲームはそういう大切な事をプレイヤーに想わせてくれるゲームだと感じました。

最近のFPSばかりでは無く、たまにはこういうFPSをしてみるのも良いのではないでしょうか。

・不満点・
声を大にして言いたいのが、ムービー中の音声が小さく聞き取れないこと。
本当に小さくテレビの音量を上げないと聞き取れません。

ゴア表現のカット
本来ならグロテスクな描写があるからこそリアルで、このゲームの内容的にはもっと戦争を考えさせられる重要なファクターだったと思うのですが・・・
何も怪我すらしていない人が苦しんでいたりしても、本当に戦争は残酷なんだなという事が伝わりません。
これは逆効果なのでは無いでしょうか・・・。

一部戦車ミッションについて
前作では戦車と歩兵を同時に指揮し、同じ作戦内で戦車と歩兵の共闘感があったのですが、
今作では戦車しか出てこなく、戦車しか操作出来ないようになっていました。
これはただの戦車のシューティングゲームみたいで残念でした。

あとは撃っても壊れない、傷一つつかないオブジェクトが多いことですかね。
リアルな空気感なだけに少し残念です。

・最後に・
最近には無いあらゆる意味で考えさせられるFPSです。
興味をもたれた方には是非手に取って頂きたいと思います。

このようなFPSは流行らないのでしょうが、これからも作り続けて欲しいと切に心から願います。