伯爵さまは甘い夜がお好き(1) (講談社コミックスなかよし)

お菓子作り。
過去の世界へタイムスリップ。
主人公に迫ってくる男の子。
孤独な主人公。男の子のほうも孤独。
裏で糸を引く親族。
…イマドキの少女漫画として王道と言える要素がてんこ盛りである。

本作では特に「過去の世界でお菓子作り」という点がキーになってきているように思う。すなわち、現代ならばちょっと大きなスーパーに行けば豊富な材料が揃っているが、タイムスリップ先である明治時代の日本にはそんな便利な店はない。つまり、普段われわれが当たり前に使っている製菓材料がいったい何をどうして作られるのか、という話も楽しみの一つである（第一話ではいきなり、「バターを自分で作る」という力技に挑戦している）。

そして、これだけ王道要素満載、描くのは今の『なかよし』誌の第一人者フクシマハルカ。まだハッピーエンドまでの道筋は遠いが、今後の進行には大いに期待したい。