吉行淳之介 ランキング!

吉行淳之介 暗室 (講談社文芸文庫)

 吉行淳之介の代表的作品。この作品で氏は谷崎潤一郎賞を受賞しており、文学的にも世間的にも広く認められている作品といえる。評論家、福田和也は著書の中で他の第三の新人らの作品とこの作品をあわせて「必読」と評価していた。鮮やかな描写の多い内容は確かに素晴らしい内容だと思う。 作品は著者の分身とも考えられる四十代の(さほど売れていない?)作家、中田の性的な交流や日常を描いた物。屋根裏に暮らす知恵遅れの兄弟、大量のメダカの死体、飛行機の上から怪物の様に見えた島、青い魚が描かれたマッチ……など鮮烈で細やかな描写が多く、読んでいて不思議な気分に浸れる。それらの描写も全く押しつけがましいところが無く、気持ちのいい作品だと思う。おそらく突飛な設定を除いて実際の経験を元にしているのだろうが、エッセイの名手と言われるだけあって、作家生活の描き方も全く退屈させられず、文学的価値が高いと評される訳が何となく分かるような気もする。 ただ、中盤を超えた辺りからほとんどがどろどろとした女性との付き合いばかりになるので少し退屈だった。性交の描写もだんだんと生々しくなり、読んでいて恥ずかしくなるような部分もあって、そういった部分では本当に好き嫌いが分かれてくると思う。主人公の元を離れていった登場人物達もその後どうなったかがあまり書かれていなかったのも残念だった。 全体的には非常に完成度の高い作品だと思うが、人によっては終盤読むのが少し大変な箇所もあると思う。 暗室 (講談社文芸文庫) 関連情報

吉行淳之介 原色の街・驟雨 (新潮文庫)

この短編集は、吉行文学の原点がつぶさに知ることができる短編集である。貧しい時代を背景に男女の駆け引きとその揺れる心をスレートな表現で書かれている。終戦直後に書かれた作品で、時代背景や古さを感じるが、それもまた味わいが良く、時代を超えて受け入れられることであろう。 原色の街・驟雨 (新潮文庫) 関連情報

吉行淳之介 砂の上の植物群 (新潮文庫)

高校時代に何故か吉行文学に触れ、不思議な魅力を感じました。未知の世界、感覚。印象に残った作品がいくつかあり、また拝読できたことに感謝。自分も年齢を経て、また異なる印象を受けました。いつ読んでも新鮮。繊細な氏の感性、表現力は、永遠に私の心の琴線に触れるかと思います。 砂の上の植物群 (新潮文庫) 関連情報




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