枡野浩一 ランキング!

枡野浩一 かんたん短歌の作り方 (ちくま文庫)

明らかに意図的な「チャラい」文章とうらはらに、短歌についての著者の考えは骨太というか硬骨というか真面目というか。いわく「あなた、前月送ってくれた短歌を今、口に出して全部言えますか? 言えないでしょ? それじゃあ駄目です(p.70)」「なぜ短歌を原則として一行で、タテ書きで書いてほしいのか? それは、修行の段階では、ギミックなしで勝負してほしいからです。(p.126)」「つまらないことを『面白く』表現することのできる人が表現者なんです。(p.200)」「短歌をつくらなくても元気に生きていける人は、短歌をつくらないでほしいと思います。(p.276)」 いずれもなかなか初心者にはハードルが高い。 そして感服したのは「……私が『マスノ短歌教』の『教祖様』を名のっているのも、他人に短歌の作り方をおしえるという行為のうさん臭さに、自覚的でありたいと考えるからです。(p.230)」 短歌に限らず、人にものを教える時には、こういう「後ろめたさ」を持ち続けた方がいいのだろう。 本書を読んで短歌を詠めるようになるとは思わないけれど、詠みたいという気にはなる。 かんたん短歌の作り方 (ちくま文庫) 関連情報

枡野浩一 くじけな

この人の本はいつもすばらしい単純な言葉だけどそれが届く挿絵もいいし、原稿だけじゃなくて、多分本自体が好きだから、本全体を楽しく見せようという試みがなされているきっと挿絵や用紙や判型にもこだわっているのだと思うすぐ読み終わるけど何度も読みたくなる本だから薄くて丁度いい くじけな 関連情報

枡野浩一 淋しいのはお前だけじゃな

 正直に言いましょう。ボクはあとがきを読むまで、タイトルに"い"を補完して読んでいました。お前だけじゃない。つまり著者が読者に同情するような意味を持たせていたのだけれど、実際には著者が自嘲する言葉だったのです。先入観というのは怖いものです。 この作品は短歌とページ下に描かれたパラパラ漫画の様な絵、そして短歌について書かれたエッセイで構成されています。はじめに本を開くと、やたらと行間が空いていてスカスカだなという印象を持ちます。しかし、読み始めるとその印象は覆されるでしょう。 普通の人生の中でも、心に残る出来事というのはたくさんあると思います。どんなに言葉を連ねても表しきれないような想いを、わずか31文字、400字詰め原稿用紙ならわずか一行半に凝縮させてしまうのです。 江戸時代、夫から妻への離縁状は三行半と呼ばれました。ただ無常に別れを告げるだけでもそれだけの字数を必要とするのに、遥かに複雑な想いを一行半で表現しきってしまう短歌というものの、表現力の豊かさに心を打たれました。 淋しいのはお前だけじゃな 関連情報




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