ヨハネ・パウロ1世 ランキング!

ヨハネ・パウロ1世 バチカン・ミステリー

 本書は”The Thief In The Night, Death of Pope John PaulⅠ”, John Cornwell, Penguin Books, 1991の邦訳であり、ローマ法王ヨハネ・パウロ一世暗殺説の謎に最終結論を出すための調査記録である。国際ベストセラーになり、発売当初イタリアでは売り切れ店が続出、コピーしてまで読まれたという、いわくつきの本だ。 著者のジョン・コーンウェルは、ローマのイギリス神学校に学び、のちにジャーナリズムの世界に転身した。ロンドンの「オブザーバー」で海外記事の編集長、ゴールドダガー賞を得た犯罪作家でもある。現在、ロンドンのジーザスカレッジ特別研究員。 彼は、各地で起こる奇跡を調査する中、教会の公式見解を求めるべくバチカンに接触した。その際に、ローマ法王、ヨハネ・パウロ一世の急死の謎を探り、執筆するよう提案を受ける。 法王の急死が謎だらけだったため、当時、様々な暗殺説が取り沙汰されていた。その手の本が続々現れた頃だったので、バチカンは頭を抱えていた。そこに現れたコーンウェルを、問題を解決するための、打ってつけの著者と見たのである。 コーンウェルは、まる一年、ローマの神学校を拠点として、バチカンはもとより、イギリス、スイス、アメリカ等、法王の死の謎に関係する人物を各地に追って取材を続け、犯罪作家として独自の推理を進めながら、問題の解明に取組んだ。 この本は、それまでどんな作家も得られなかった特権を利用して書かれているのが特徴だ。 著者は、今のローマ法王と謁見して、バチカンでの取材の後押しを約束される。「黄門様の印籠」だ。その権威の下、バチカン各省の閣僚や司祭官僚、僻地に左遷された元法王秘書、法王の侍医、法王の姪に当たる医師、FBI捜査官、陰謀説の著者等に直接面会を求め、前任法王の急死にまつわるミステリーを払拭するべく、率直な質疑を試みる。インタビュー内容が逐一収録されているのは貴重だ。 だが、バチカン官僚には、「印籠」が目に入らないらしい。法王の意思決定にはお構いなく、閣僚らは保身に回り、素直に答えない。匿名を条件に、バチカン内部の堕落を、洗いざらいぶちまける枢機卿もいた。彼が帰るときの情景が心に焼き付く。屋台からこぼれ落ちた、腐ったリンゴを、蹴飛ばしながら帰ったのだ。 隠匿、回避的態度、証言の食い違いが、いっそう謎を深め、著者は憤りを覚えて調査の断念さえ考える。バチカンという歴史ある巨大官僚機構の中で、誰もが窒息寸前になっている様子が絵のように伝わってくる。聖域と呼ばれる世界に渦巻く、どろどろした人間模様は、中に深く足を踏み入れた人間にしか、けっして描けないものだ。 それとは対照的に、元秘書や姪の医師など、バチカン外の証言者からは、ときに涙とともに、激しい感情の吐露と誠意ある証言を得る。 以前、『法王暗殺』のタイトルで、ヨハネ・パウロ一世の暗殺をテーマとした本が出た。フリーメーソンP2ロッジに関係する銀行の倒産とバチカン銀行の癒着を背景に、銀行総裁が国務長官と結託して、追い込みをかけようとしたヨハネ・パウロ一世を毒殺したという筋書きだ。この本はそれに代表される各種暗殺説について、入手し得る限りの証言、証拠に基づき、その真偽判定を試みている。 バチカン・ミステリー 関連情報

ヨハネ・パウロ1世 立ちなさいさあ行こう―教皇ヨハネ・パウロ二世の自伝的回想

ヨハネ・パウロ2世教皇様のお話には、いつも勇気をいただきます。 立ちなさいさあ行こう―教皇ヨハネ・パウロ二世の自伝的回想 関連情報

ヨハネ・パウロ1世 ヴァチカン―ローマ法王、祈りの時

新千年紀のために1000年間閉じられていた「大聖年の扉」が1999年12月24日にヨハネ・パウロ二世の手で開かれました。三千年紀を迎えるローマ法王ヨハネ・パウロ二世の祈りを綺麗な写真と文で紹介しています。信者でなくても神聖が気持ちになります。ヴァチカンに行った人、これから行く人に是非読んでほしい本です! ヴァチカン―ローマ法王、祈りの時 関連情報




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