映画でしか007を知らない方はぜひ小説を読んで頂きたい。映画を観るより遥かに時間はかるし、活字ばかりで退屈かもしれない。しかし、小説こそが、イアン・フレミングが生み出した007の世界の原点なのだ。このカジノ・ロワイヤルでボンドはこの世に誕生した。アクションも少なく、秘密兵器も登場せず、内容も役とのバカラの勝負で勝つこと。内容だけ確認してもかなり地味だよね。けど実際は違うんだよ!本の紹介なんて結末の一番いいところは紹介しないよね?カジノの対決は中盤にすぎない。それでもバカラ勝負はかなりスリルがあって手に汗握ること間違いなし!けどこの作品の一番の読ませどころはここではない!カジノ対決後のヴェスパーが作り出すクライマックスが一番の読ませどころ!この悲しくも心を引き付ける衝撃のラストは本当に涙が止まらない!ウォッカマティーニの作り方も書いてるよ。ファンはぜひ読むべき作品です。ヴェスパーに恋した人は絶対に泣かされます。買って損はない、いつまでも手元に残したい作品です 007/カジノ・ロワイヤル (創元推理文庫) 関連情報
最高にスウィートなバート・バカラックのこのサントラは、もちろん1曲づつ独立しても素晴らしい。「The Look Of Love」なんて名曲も生まれた。随所で聴ける多分誰しもどこかで聞いたことのあるメロディはどのくらいTVのBGMなどで使い倒されただろう。レコーディングはフィル・ラモーンが手がけたが、これまでの輸入盤では残念ながら音が悪すぎた。このサントラは長い歴史の中で何回も「入手困難」な時期があったので、国内盤があるうちに手にしておいた方がよい。 オリジナル・サウンドトラック「007/カジノ・ロワイヤル」 関連情報
2006年12月の映画の公開に合わせて出ましたね。フレミングの原作が。新版でカバーが新しくなりした。旧版は本屋では見かけなくなりました。今時007なんて流行んないんですかね。もっともボンド・マニアっていうのは日本で思っている以上に世界にはいるものです。ボンド・ムービーが未だにフランチャイズとして残っているのがその証拠です。本作はフレミングのボンド・シリーズの第一作です。後の作品に比べると地味な印象ですが、ボンド・シリーズのエッセンスは全てそろっています。1.マニアック(偏執狂的)な悪役:ボンドに対する拷問なんかほとんど病気です。2.荒唐無稽なオペレーション:ソ連のスパイが党の金を使い込んじゃって、カジノで取り返そうという話も笑えるし、それをイギリスの情報部員が正々堂々とカード・ゲームで負かそうとするという話も笑えます。3.スペクタクル・シーン:ここではカーチェイスぐらいですね。カード・ゲームのシーンはビジュアル・イメージとしては地味ですが、緊張感があります。4.ガジェット(秘密兵器):ボンドはほとんど使いませんが、ル・シフルの車には仕掛けがあります。ボンドはこれでやられちゃいます。5.エキゾチックなロケーション:フランスのカジノですが、我々日本人からすると充分エキゾチックです。6.ボンド・ガール:これは欠かせませんね。本作のべスパー・リンドは女王陛下の007のトレーシーとならんで存在感があります。ボンドの心を動かしたのは全作通じてこの二人だけですね。今度の映画はイオン・プロ、ダンジャックがコロンビア・ピクチャーから映画化権を買い取っての正統派ボンド映画となります。アルバート・ブロッコリが生前果たせなかったことです。主演にダニエル・クレイグなんて地味な俳優を起用しているところに製作者の本気を感じます。もっとも、60年代のコロンビアのパロディー映画も好きでしたけどね。 007/カジノ・ロワイヤル 【新版】 (創元推理文庫) 関連情報
以前はソニー・ピクチャーズから出ていたカジノロワイヤル権利元のMGSの経営難によりゴタつき、しばらくリリースが留まっていましたが販売権が20世紀FOXに移った(戻った?)事から、ようやく再リリースです平然と他の廉価BDと同じ様にリリースされていますが、何気にこの仕様は凄いですというのも、今回のディスクに収録される映像特典は既にプレミア化してしまっていた007 カジノ・ロワイヤル スペシャル・エディション (2枚組) [Blu-ray]の内容をフォローしているからです(…とはいえさすがに全てではなく■マーティン・キャンベル監督とマイケル・G・ウィルソン(製作)によるピクチャー・イン・ピクチャー(BONUSVIEW)音声解説■フリーランニングという芸術■空港シーンの撮影:絵コンテからスクリーンへ■絵コンテから集:追跡シーン■製作スタッフのインタビューは残念ながら収録されていませんどうしても全部見たい!…という方はやはりSE版を探すしか無いのですが)また、以前の通常版を持っている人に配慮してなのかは判りませんか■予告編集■ボンド・ガールは永遠に(2006)は収録されておらず、今回と以前のを合わせると半SE版といった感じになります元のソニー・ピクチャーズが今では廉価版で特典映像を全て削ぎ落とす傍らでここまで色々としてくれる20世紀FOX企業の対比が眩しいです映像特典に興味がありつつも以前のSEを入手できなかった方、新品を欲しかった方はまさに“買い”でしょう カジノ・ロワイヤル [Blu-ray] 関連情報
007シリーズは色々楽しませて貰っているが、最高傑作を1本挙げるならやはりコレ。おっとジョン・ヒューストンの「カジノ」じゃないぜ。今回の「カジノ・ロワイヤル」は原作小説第1作目!本作こそ紛れもない「最初の007」であり、娯楽スパイアクションになる前のハード・ボイルドタッチの渇いた作風が特徴だ。タランティーノの「007」も凄く見てみたいが、本作はキャンベルだったからこそ良かった気がする。本当に「ゴールデンアイ」の監督か?本作は完全にそれを超えた。オープニングは歌詞の入ったカッコつけで嫌いなのだが、それ以外は完璧と言っていい。何より動きだけで状況を読み取らせる戦闘が堪らない。暗殺から始まるファーストシーン、たった一人の爆弾魔を全力で殺りに行く壮絶な追走劇、大使館なんざクソ喰らえ!爆破だ!!セバスチャン・フォーカンとダニエル・クレイグの「障害物競走」が凄すぎる。パルクール習いてえー。負けず嫌いで張り合うクレイグの顔がまた。いい加減スパイしろよ!!!(褒めてる)多分シリーズで一番スパイしないスパイなんじゃねえかコイツ?女性関係はあくまで情報のためと割り切る姿勢、常に生傷が絶えない荒々しさが気に入った。スパイしないスパイは戦ってなんぼ。血で血を争う凄まじさ。特に「お約束」を最後まで廃した展開が良かった!今までの007は「どうせ死なねんだろ(舌打ち)」を楽しむのが恒例だったけど、今回のボンドはマジで死ぬんじゃないかとヒヤヒヤしまくった。毒盛られた時の焦りまくるボンド。「過去に大使館を吹っ飛ばしたスパイは亡命でもしたわよ」堂々とボスの家で帰りを待つボンド。捕まってもぶん取った“軍資金”のために殺されない。どんな拷問を受けても屈しないボンドの頼もしさ。奴の股間はチタンか?二重、三重の駆け引きが明かされていく終盤も中々だが、やはりあの結末は悲しすぎる。これほど言葉を介さずにメッセージが響いてくるボンドは久しぶりだ。本作はあくまで「ボンドの過去」だが、ボンドが変わる度に全く別の映画として楽しんでいる俺にとっては「現在進行形」の後味なのだ。最初と最後の出来事で見せるボンドの表情がより虚しさを漂わせる・・・この表情の変化。本当今作のボンドは女運が無い・・・恐ろしく人間臭い。そこが良い。ラストで「標的」を地に這いつくばらせて真の“007”となった姿が印象深い。そして007のテーマで締めくくるラスト!後味は悪いけど、完成度は文句なしの傑作。 カジノ・ロワイヤル [DVD] 関連情報