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バクテロイデス やせる!若返る!病気を防ぐ!腸内フローラ10の真実

「腸内フローラ」と呼ばれる腸内の細菌が作り出す生態系が人間の体にどのような影響を与えているか、最新の研究成果に基づいて紹介した本。NHKスペシャル用に取材用された内容を本にしたもの。番組では放映されなかったことももい込まれている。本来なら医学的に高度な内容が含まれているが、比較的やさしめに書かれており、医学・生物学の基礎知識がそれほどない人でも読めるようになっている。肥満の人ではバクテロイデスなどの腸内細菌の数が少ないため短鎖脂肪酸(酢酸・酪酸・プロピオン酸)を作る能力が低い。また、短鎖脂肪酸は腸の細菌を刺激してインクレチンを分泌させ、このインクレチンがすい臓に届いて糖尿病が改善する。また、腸内細菌が作るエクオールという物質は肌を若返らせるが、この物質を作る細菌を持っている人は日本人の二人に一人しかおらず、若い人では減っている(このエクオール入りのサプリメントを開発している会社がある)。エクオールはがん予防とも関係があるとみられている。腸内細菌がレシチンを分解してできるTMAという物質は肝臓でTMAOという物質に変わり動脈硬化を引き起こす。腸内細菌はアレルギーとも関係があり、腸内細菌が作る酪酸はT細胞が変化する制御性T細胞の数を増やし他お免疫細胞の暴走を抑制する。そのためには食物繊維をたくさん摂取するのがよい。ビフィズス菌が作る酢酸は腸の機能を活発化させて腸のバリア機能を高める。腸内で作られる弱い毒素が血管に吸収されて弱い炎症状態を作り出すことで糖尿病を引き起こすという仮説があり、これはがんや動脈硬化とも関係している。腸内フローラは性格にも関係しており、腸内フローラの状態を入れ替えることで、活発なマウスが臆病になったり、その逆がおきることが実験で確かめられている。また、腸で作られる神経伝達物質は脳にも影響を与える。自閉症にも関係している可能性があるという。シロアリは腸内細菌によってセルロースを分解しているし、コアラはユーカリを分解して生きている。人間の腸にもたくさんの細菌が住んでいて、生存に大きな影響を与えていると考えられるようになった。ただし、この腸内フローラの状態は人によって違う。胎児のときには無菌状態だが、産道を通るといきなり母親の菌がとりこまれ、生きていく中で様々な菌が腸の中に増えてゆく。ただし、腸内フローラの状態は人によって異なっている。また、例えば、日本人の腸には海藻を分解する菌がいるというように地域差がある。年齢によっても変わってきて、齢をとると腸内フローラの状態に偏りが生じてくるという。腸内に常在する最近は腸の粘膜に入り込んでフローラを構成する。ヨーグルトに含まれる菌などは長時間腸にとどまることができないので、定期的に食べ続ける必要がある。結局、普段そのように意識していないだけで、我々は腸内フローラを構成している細菌たちと共存共栄の関係にある。「人間などの動物の社会性を生んだのはもしかしたら細菌たちではないか」という研究者の声が紹介されているくらいである。腸内フローラの状態を健全に保つことは我々の心身に欠かせない。欧米では、治療の一環として、健全な腸内フローラを持つ人の便を病気の人の大腸に注入することも一部で行われており、良好な結果が得られているそうだ。腸内フローラの研究は世界でさかんに行われるようになっており、新たな成果が期待される分野になっている。 やせる!若返る!病気を防ぐ!腸内フローラ10の真実 関連情報

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腸内細菌がここまで人間と深く関わっていたとは!前半は、最新研究をまとめた実用的な内容。後半は、なぜ人類がこれまで細菌と共生してきたか、生き物の進化を辿りながらみていく。腸の本はたくさん出ているが、本書はすごく科学的でおもしろい。 やせる! 若返る! 病気を防ぐ! 腸内フローラ10の真実 関連情報




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