バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲)(2CD)

自然体のバッハといったらいいのか、モダンオーケストラによる演奏で悠揚迫らぬテンポでじっくりとこの名曲の素晴らしさを聴かせてくれる。シャープで切れ味鋭いピリオド楽器とは一味違う演奏だ。落ち着いた佇まいのなかに、生命力あふれる演奏にはバッハが生きたバロック時代の雰囲気が色濃く漂っている。名曲には名盤ありで、モダン楽器からピリオド楽器まで幾多の名演があるが、これはひとことで言うなら中庸を得た演奏ということになるだろう。ゲルハルト・ボッセ指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス・バッハの演奏はいささかも奇を衒うことなく、この曲の真髄をさりげなく表現する。ライプツィヒは、バッハが聖トーマス教会の楽長として一生を終えたゆかりの地であり、数多くの傑作が生み出された場所だ。そのせいかこの演奏にはバッハに対する深い洞察と心からの愛情が感じられてならない。快活でありながら、温かみと優しさに充ちた演奏。そこからは、じわじわと音楽を聴く喜びと楽しさが伝わってくる。旧東ドイツ時代の名門レーベル、ドイツシャルプラッテンの録音も各楽器がまろやかにブレンドされた柔らかな音色を捉えている。聴くたびに味わいが増してくるような演奏だ。 バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲)(2CD) 関連情報

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