天才伝説 横山やすし

小林信彦先生が漫才師・横山やすし氏との出会い、疎遠になったエピソードを書いていますが、先生にとっては悪夢のような出来事もあります。しかし、大阪の漫才にとっては「よそ者」の東京人の小林先生でなければこうも距離を置いて冷静にはかけないでしょう。「突然の人」横山やすしを、先生がご自分で見聞きしたもののみで描いてみせる。独自の視点から横山やすし像を描いています。結果、横山氏の天才がより鮮明になっています。先生の実力が遺憾なく発揮されています。評伝ではありません。書名がそれを表しています。取材不足という評価は見当違いですね。