


花鳥の夢 (文春文庫)
奇しくも本書の主人公・狩野永徳のライバル的存在を描いた安倍龍太郎の『等伯』が直木賞を受けたその後に、本書が出版されたので、期待を込めて読みました。
作家同士は別にライバルじゃないですが、本書の作者もかつて『利休にたずねよ』で直木賞をとっており二人の直木賞作家が狩野永徳と長谷川等伯というライバルを同時期にそれぞれ描いたのには奇異な感を受けました。
『等伯』の方では天分に恵まれながらも巨大な狩野一門を守るために様々等伯に因縁をふっかける永徳が描かれてましたが、本作でもまったく同じキャラでしたw
ただ、『等伯』が絵師としての生き様以外にも戦国時代そのものにも筆をさいたり、また、等伯という人間を通して、人の悲哀を見事に描ききっていたのに対し、本書では、ひたすら狩野永徳という”絵師”を真正面から描いています。等伯の才能に嫉妬して、醜いセリフを吐いちゃったり、天才なのに、信長や秀吉から絵のダメだしをされて開眼しちゃったり、絵師として三歩進んで二歩さがるような成長をし続ける感じで描かれていました。
実際の永徳の作品についてもきちんと描かれています。本書の序盤が国宝になっている「洛中洛外図」の製作がメイン、次が狩野一門の命運をかけた安土城内の障壁画、それから狩野一門の総力をあげて脅威の短期間で仕上げた大阪城の障壁画と、そのひとつとして描かれた唐獅子図、秀吉の命で八条宮邸に描いた檜図屏風などです。

おれは清麿 (祥伝社文庫)
どれほど熱意があっても、正しい努力、人の縁がなければ成功しない。兄・山浦真雄の影響で刀の魅力に取りつかれた若き日の清麿は、一心不乱に刀を打っていく。その熱意と非凡な才能は、「そなたを試したくなった。」と、後に幕府講武所頭取に就任する大学者・窪田清音の眼鏡にかなったことが道を拓く分岐点になる。今でいうなら、地方の受験生が東京大学教授の家に押しかけて認められ、住み込みで何年も研究するようなものである。清麿の情熱と才能は、窪田清音の所蔵する名刀、周囲の一級の人材と触れ合うことで才能が開花する。
この本の大きな功績は、窪田清音の武器講から逃れるため出奔したというこれまでの刀剣界の定説を、小説執筆のため萩に出向き新しい史料を発見し、窪田清音や事情や萩藩の事情から「萩に招かれたという説」を打ち出したことにある。清麿の「名誉回復」を成し遂げた山本謙一氏の情熱と丁寧な執筆は、同じく早世した清麿の熱意とオーバーラップするのである。

夢をまことに
江戸時代の鉄砲鍛冶にして、火薬銃にとどまらずさまざまな発明や西洋渡来品の改良コピーを行った国友一寛斎の伝記的小説。
江戸時代の日本という西洋のイノベーションから隔絶された環境にあって、それでも日本国内で他分野の職人と切磋琢磨しつつ、自らの知恵の限りを尽くして新製品の開発をいくつも成し遂げた人生を描く。それは、なかなかにエキサイティングで、かつ味わい深い人生と言えるだろう。
作品への不満点を二つ。
(1) 製品の発明・改良の経緯は、それだけで面白いと感じられるものだが、工芸製品だけに図解が欲しかった。視覚的に製品の細部を知ることができれば、本作の魅力も大いに増したように思う。
(2) ストーリーがやや単調で、結末もそれまでの人生を単に振り返る、という心理描写で終わっている。単なる伝記ではなく、フィクションであるのだから、もっと劇的な展開や心理的変遷を用意できれば、さらに娯楽系文学作品として面白いものになったのではないか。
火天の城
時に1575年(天正3年)、長篠の戦いで甲斐の武田勢を破った織田信長は、翌1576年、その天下統一事業を象徴するかのごと

山本兼一 ウェブ

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